自分はこんなにも、弱かったんだ。
     それにずっと、気付かないふりをしてた。


     だって一緒にいられなくなるのが怖かったから。









     ― 望んだモノ ―









     近藤さんたちから離れて、俺は万屋へ向かって走った。
     でも、すぐには行けなかった。
     こんな泣きそうな顔して、もし旦那以外の人が出たらどうする。
     そう考えたら、行けなかった。


     万屋に行かずに寄ったのは、小さな公園だった。
     砂場と鉄棒と、ベンチが一つあるだけの、小さな公園。
     俺はベンチに座り込んだ。
     此処なら、この人気のない公園なら、

     泣くことが出来る。


     泣きたかった。泣いてしまいたかった。
     どうして泣きたいのかが分からないけど、
     それでも、泣きたかった。

     だって、苦しいんだ。



     だから、泣いた。
     声を出さずに。
     だって俺はもう子供じゃないから、泣き叫んだりしない。
     でも、何故だろう。

     声を出して泣きたいと思った。




     初めて人を斬ったときも、俺は泣いた。
     人に見られないように、こっそりと、声を抑えて泣いた。

     本当は、泣き叫びたかったんだ。


     その時以来だ、声を出して泣きたいと思ったのは。



     本当は、本当はずっと

     苦しいまま。






     「沖田、くん?」



     求めてた声が、聞こえた気がした。
     こんなところに、いるはずないのに。


     「おーい、無視ですかァコノヤロー」


     「旦那・・・・・・・?」


     何で、どうして、

     ねぇ、


     「え、何、泣いてんのっ?」


     どうして、

     会いたいときに来てくれるの?


     「・・・旦那ァ・・・・・・・・」








     恐いんだ
     人を斬るのも、独りになるのも。
     でも誰にも言えなかった。
     だって自分は弱くてはいけないから。

     でも、言ってしまいたかったんだ。
     自分の弱さも、全部。


     全部、誰かに吐き出してしまいたい。




     自分の弱さを言えることを、

     言える人を


     受け止めてくれる人を、



     多分ずっと、望んでた。








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   タイトルの由来が思い出せない・・・(ぇ)。


   

   07.11.25