ゲームに勝とうと頑張っている。
もしかしたら、半ば意地になっているかもしれない。
でも、それでいいんだ。
だってゲームって、それが楽しいんだから。
ヒバリに好きだと嘘を伝えてから、４日。
今のところは特に何も起こらない。
前よりも応接室に通う時間が増えたけど、ヒバリの反応は相変わらず。
・・・余りにも反応が薄いから、少し躍起になっているかもしれない。
嫌いまで言われたら、どうしても落としたくなるよなぁ。
まあ、それだけ。
後は何もなく、どうやって落とそうか考えていただけ。
・・・だったんだけど。
「あの、付き合ってくださいっ」
ああ、またか。
最近はあんまり無かったんだけどなー。
昼休みに（確か）隣のクラスの、名前は分からないけど化粧の濃い女子に呼び出されて、着いた場所は校舎裏。
ベタだなあ、とか。まあ俺がよく溜まってる場所も校舎裏だけど。
返す言葉なんて、いつも大体一緒。
「・・・ごめん、今は俺、野球が大事だから・・・・・・」
有り触れた告白に、有り触れた断り方。
でも、俺が言うなら本当だと思われるんだろう。
「や、野球優先でもいいからっ！」
ああ、やっぱり。
こういう化粧濃い女子って、簡単に引き下がってくれねぇんだよな。
そのくせ後で「私と野球どっちが大事なの？」とか言ってくる。
最初に野球が大事って言ったはずなのに。馬鹿かよ。
「ね、それならいいでしょ？」
「や、でも・・・」
全然よくないから。
「お願い！遊びでもいいから！！」
ああ、
ウザイ。
「ごめん、ホントは俺、好きなやつがいるんだ」
「そ、なの・・・・？」
うん、なんて言葉を俺の口は吐く。
ばーか。嘘に決まってんじゃん。
嘘つくぐらい、お前と付き合いたくないってことだよ。
「ごめん」
「・・・・・・・・・っ」
女子が涙目になって走り去っていく。
あれぐらいのことで、涙かよ。
最初に断った時点で、好きじゃないって分かるはずなのに。
まあ、最後にちゃんと ごめん って言ったから、『優しくて天然な山本君』は壊れないから、別に涙なんてどうでもいいけど。
けど、これだけのことに大事な昼休みが潰れてしまった。
「チッ・・・・・・めんどくせぇ」
きっと今の俺の顔は酷く歪んでいるだろう。
それぐらい、めんどくさい。苛々する。
「ったく、わざわざ優しく断ってやってんのに」
それに気づきもしないで、引き下がらないで。
「テメェみたいな化粧濃い女と誰が付き合うかよ」
しかも全然似合ってない。
『遊びでもいいから』・・・？ハンッ
「たとえ遊びだって、お断りだ」
此処が人気の無い校舎裏でよかった。
もし教室の近くだったりしたら、苛々した気持ちを隠して「山本武」を演じなきゃいけなかったから。
此処で苛々を吐き出してしまえば、溜め込まないで済む。
溜め込んで、また、醜く歪まなくて済む。
そんなことを思いながら、俺は飯を食うために教室の方へ歩き出す。
さっきの女子と、自分自身を、
嘲笑いながら。
放課後になったら、また応接室へ行く。
その時完璧な演技をするために、ヒバリにバレないように、
それまでにこの苛々した気持ちを消さなければ。
まだ、遊びは始まったばかりなんだから。
こんなに早く終わってしまったら、つまらない。
最後の最後まで、足掻いて苦しむヒバリを見たいんだから。
そしてそのヒバリを、もっと深く奥底まで堕としたいんだ。
ああ、俺って歪んでるなあ。
ゲームを順序良く進めていこう。
（待ってろよ、ヒバリ）
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久々の更新です。スイマセン。
間が空きすぎたので、多分矛盾がたくさんあるかと。
黒いもっさんて、どんなんだっけ。
08.03.28
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