さぁ、ゲームを始めようか。
負けるつもりはないからね？
ゲーム開始を（勝手に）決めてから、１日。
対戦相手は毎日来るから、きっと今日も来るだろう。
さぁ、まずはどうしようか。
ゲームのことを彼に伝えるつもりはないけれど。
「よぉヒバリ！」
ああ、やってきた。
僕の対戦相手が。
「やあ」
僕が（一応）挨拶を返せばほら、驚愕した顔。
それはそうだろうね、いつもは「また来たの」と言うくらいだから。
そう、いつもは。
「え、何、ヒバリ、どーした？」
「何、文句でもあるの？」
「いや、ねえよ、だって」
あ、きっと言う。
昨日と同じ言葉を。
まるで本気であるかのように、言うんだ。
「ヒバリのこと、好きだし」
寧ろ嬉しい、とか言ってる山本。
昨日の僕が動揺した、好きという言葉。
簡単に、それでも照れたような演技をしながら言うんだね。
まるでゲーム開始の合図かのように。
「そう」
「え、それだけ？」
だって今更照れるのも、ねぇ。
面倒だし、馬鹿らしいし。
「なぁヒバリ」
「・・・何」
一体何を仕掛けてくるのか。
好きや愛してるだけじゃ、芸が無くてつまらないよ？
「実はヒバリも俺に気があったりとか、しねぇの？」
・・・・・・・・・・。
「・・・・は？」
「だってほら、何か機嫌いいみたいだし」
ああ、ちゃんと言葉を返すことか。
機嫌いい・・・って思われるんだ、これ。
「で、それって俺に関係あったりとかしねーのかなぁ〜・・・って」
「・・・ああそう、それで」
「ヒバリも俺のこと好きだったりとかしないのかなー？」
いきなりそうくるんだ。
なんていうか、性急だよね。
好きって言葉を使ったのは昨日なのに。
もう遊びの、掛けの、
ゲームの対戦結果を求めはじめるの？
・・・・・いや、違うか。
これはきっと、本気だということを主張するとか、
そういう作戦なんだろうね。
「で？ヒバリ」
「・・・ああ、君のことが好きかどうか、だっけ？」
「そうそう」
ここはどう言っておけばいいんだろう。
ゲームは普段やらないから分からないよ。
まあ、いいか。
「 大嫌いだね 」
本音を言ってしまえば。
あの後、つまり嫌いと言った後。
山本は適当に話をして帰っていった。
嫌いと言った時は、驚いた顔をしてたけど・・・。
まさか、すでに落ちてるとでも思ってたのかな？
馬鹿馬鹿しい。
悪いけど、君に勝たせるつもりはないんだよね。
だってほら、君を咬み殺さなきゃいけないし。
さて、どうやって諦めてもらおうかな。
簡単には引き下がってくれないだろうし、ね。
暴力じゃ無理なことは分かってるし・・・。
どうしようか。
それに、簡単に勝ってしまうのもつまらない。
どうせなら、精神をボロボロにしてから、肉体的に傷つけたい。
そこで、初めて気付けばいいんだ。
僕を落とすなんて、最初から無謀なことだった と。
僕を騙そうとして、逆に騙されてしまえばいいんだ。
そうじゃないと、ムカツクから。
騙されそうになった自分が。
騙しかえさないと、ダメだ。
このゲームには、絶対に勝つ。
勝って、ぐちゃぐちゃにしよう。
そうだ、昨日校舎裏で山本と話していたやつ。
あいつも探し出して、咬み殺そう。
僕のことを嘲った罪は、重いよ？
しっかりと償ってもらわないとね。
ああ、今回は救急車は呼んでやらないから。
きっと今日はもう山本は来ないだろう。
明日は、どうしてやろうか。
とりあえず、ゲームに勝つための計画を立てようか。
（このゲームには攻略本なんてないから）
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わー、こういう連載って楽しいー。
だって好き勝手できるし。あ、でも今回もっさんが黒くない・・・。
07.12.15
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