始まりは沖田のその一言から。




     「土方さん、花火!!」







     
花火と夏の終わり









     「・・・は?」


     「だから、花火!」


     「・・・やろうってか?」

     「もちろん」



     それ以外何があるって言うんですかィ、と

     笑いながら花火を土方に押し付けてくる。



     「・・・総悟」

     「何ですかィ?」


     「今、何時だ?」


     「午前1時。」


     「何でこんな時間に花火なんだよ!近所迷惑にも程があるわ!」


     「近所ったって、他の隊士達だけでさァ」



     だから別に良いだろう、と何気に酷いことを笑顔で言う。

     確かに屯所内でやれば良いのだから、迷惑がかかるのは屯所内にいる隊士だけなのだが。



     「だからってなあ、何で1時?」


     「急にやりたくなったからでさァ」


     「え、そんな理由?」


     「さーやりましょうぜ、花火!」


     「うわ!?おま、ちょっ!?」



     土方の言葉をスルーして、外へと引っ張っていく沖田。しかも襟元を。

     少し土方の首が絞まっている気がするが、其処は気にせずに(というか気づかずに)進んで行く。



     (ちょ、首!マジで首絞まってるんですけどォ!!?)






     「土方さーん、コレ!」


     と言って持ち上げたのは・・・ねずみ花火。


     「・・・駄目だ。」


     「えー・・・じゃあ、こっち!」


     今度は・・・・・・仕掛け花火。


     「・・・・・・それも駄目だ。」


     「ええぇえー・・・・・・じゃ、コレ。」


     
お前ふざけんなよ?駄目に決まってんだろ!!



     沖田が手にしているのは、打ち上げ花火

     真夜中、というか深夜にそんなのやろうとするなよ、と思い

     しかし止めないと本当にやりそうだなコイツ、とも思う土方。



     「・・・今日はこれだけにしとけ。」


     と言って沖田に手渡したのは、線香花火。


     「えー、ショボ・・・」


     「こんな時間に言い出したお前が悪い。」


     「・・・ちぇー」



     文句を言いながらもしっかりとやるらしく、

     束から一本取って火をつける。



     パチ
          パチパチッ



     「・・・総悟」


     「何ですかィ?」


     「何で急に花火やりたくなったんだ?」



     「んー・・・・・・


      もうすぐ夏も終わりだなぁ・・・と思ったから?」


     「ああ・・・」



     そういえば、もうそんな時期だな と空を見上げる。

     最近は夜も少し冷えるようになってきた。



     パチッ

          ポトリ


     「あ」

     「落ちたな」



     だから線香花火は・・・と言いながら、また新しいのに火をつける。


       パチッ



     「土方さん」


     「・・・何だ?」



     「来年も、花火やりやしょう」

     この時期に、と。


     「ああ・・・そうだな。」




     パチ


          パチッ





     「総悟ー」


     「ハイ」





     「好きだ」


     「知ってまさァ」





       ポトリ




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  何だコレ。特に最後。
  絶賛スランプ中って感じです。

                           (070824)