どうして自分じゃないんだろう、と。

     あの人に笑顔を向けられてる人を見て、いつも思ってた。

     いつもの人を弄るような笑い方じゃなくて、もっと純粋なあの人の笑顔を。


     もっと間近で見ていたいのに。





     I want it...





     好きだと気付いたのは、やはり笑顔だった。

     副長に向けられた笑顔を遠くから見て、よくわからないけどムカついてた。

     俺だって笑顔を向けて欲しいのに。

     局長や副長にしか向けられない笑顔を。

     二人に嫉妬するなんて馬鹿げてるって分かってたけど、
     それでも気持ちは収まらなかった。



     どうして、そんな笑顔をするんだ、とか

     なんで、普段からそうやって笑わないんだとか

     でも、他の奴等には見せたくないとか


     俺に向けられてなくても その笑顔を見ていたい、とか。




     気付くといつも考えてしまうのは、あの人のことだった。

     今何してるんだろうとか、また笑ってるのか・・・とか。





     「おーい、山崎ー」


     この声って、


     「・・・沖田さん?」



     ああ、何で。

     何で俺の目の前に?

     嬉しい、けど困ったのは、沖田さんのことを考えていたから?



     「なんですか、沖田さん」


     ただ会えたというだけで、どうしてこんなに暖かい気持ちになるんだろう。

     何で少し、期待してしまうんだろう?




     「土方のヤローは何処でィ」



     ああ、そうか。

     やっぱり、俺じゃないんだ。



     「あ・・・、局長のとこにいると思いますよ?」



     「そっか、サンキュ」



     ・・・ああ・・・何だ。


     こんなに近くで見れたじゃないか

     沖田さんの、笑顔が。

     こんなにも近くで、沖田さんは笑ってくれるじゃないか。





     たとえ俺に向けられた笑顔じゃなくても。
             (どうしてこんなに虚しい気持ちになるんだろう)






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  涼永サマに押し付けます。返品不可なんで。
  でもポイ捨てはOKです(ぇ)。



  07.10.11 羅希